2011年4月17日日曜日

NOELが見たレバノン女性の涙とフランス女性の衣装


オリエンタルダンサーNOELさんが、パリでのKamellia さんの公演「Voyage en Orient」を終えフランスから帰国されました。NOELさんがパリにて触れたレバノン女性の涙とフランス女性の衣装について以下のように語ってくれました。NOELさんがこの記事にて伝えてくれたことは、日本人としてオリエンタルダンスを愛する方に感じるものと日本のオリエンタルダンスの現状を見つめ直す視点を与えてくれます。(NOELさんの記事→)

パリから帰国しました!
私の尊敬するKamellia さんの公演「Voyage en Orient」に参加させていただきました。
Kamelliaさんに初めてお会いしたのは10年前です。当時、Kamelliaさんが、日本に一時帰国されていた時に東京のショーに出演されていました。そのころ私はオリエンタルダンスを始めて間もない時期。当時、東京にはスクールもあまりなく、ショーを見られる場所も機会もあまりありませんでした。早くも私は倦怠期を迎えていました。「この踊り、あまり面白くないかも?」そんな時にKamelliaさんを一目見て、衝撃を受けました。
なんて美しいのだろう・・・・!
「この踊りがこれほどまでに芸術性が高いのであれば、ぜひ学んでみたい」と思いました。その数ヶ月後、私はパリにある彼女の教室を訪ねました。
そのときからのお付合いで、その後毎年の来日公演に出させて頂けるようになりました。今回のパリへの訪問は10年ぶりです。Kamelliaさんは毎年ホールでの公演を企画されていて、小さな子供からプロ・上級生までが出演し、日本や韓国など彼女のゆかりのダンサーがゲストで招かれます。
最近では自分の企画のショーはこの公演のみに絞っている、ということで、彼女の愛情がたっぷりと詰まった舞台でした。2日間の公演は沢山のお客様が集まり、とても盛り上がりました。
 
Kamelliaさん(上写真中央)はほぼ出ずっぱり。華麗なベールダンスからヒゲを付けた男役まで、その芸域の広さも、尊敬するところです。

日本でのオリエンタルダンス発表会と、とても違う事があります。
それは衣装!!

プロ・上級生、私たち海外からのゲストダンサーだけが、お腹の出るオリエンタルコスチュームを着ていました。一般の生徒さんは、ハーレムパンツにトップス、といったような露出の少ない衣装でした。質素で堅実、そして教養のある生徒さんがKamelliaクラスには多いのですが、人前で露出の多い衣装を着ることに抵抗を感じるようです。しかし、これは女性が普通に持つべき感覚であると私は改めて思いました。プロダンサーという「一線を越えた」舞台人ならば、豪華な衣装を纏って踊ることは大事な要素ですが、趣味で踊る人、レッスン生であれば、音楽や振り付けに合った、かわいらしい衣装で家族や友人に安心して見てもらう、というのが健全なあり方なのかもしれません。Kamelliaさんの公演では、生徒は露出の少ない、かわしらしい衣装で安心して見られ、プロが出てくると世界が一変する、というとても分かりやすい形でした。これはこの踊りが健全な形で広まっていくために、実は必要なことではないか?とさえ思えました。日本もそうですが、韓国でもレッスン生が衣装重視だそうで、誰もが露出の多い華美な衣装を付けることに一生懸命になっているそうです。
 今回の公演のお手伝いをされていたレバノン人の女性から印象的な言葉をもらいました。彼女はKamelliaのもとでダンスを習っていますが、そのことを決して家族には言えないそうです。なぜならオリエンタルダンスは自分の国では下品なものだと軽蔑されているからだそうです。彼女が涙を流しながら
「私たちの国の文化である踊りを、外国人のあなたがとても上品に踊ってくれて、ありがとう。芸術として昇華してくれて、ありがとう」と言うのです。
私も涙が止まらなくなりました・・・・
"フランス女性の衣装の感覚、レバノン女性の涙"
日本での広がり方とはだいぶギャップがあるように感じました。オリエンタルダンスが日本で芸術として広まっていくためにも、もう少し私たちは文化・背景を勉強しないといけないと思いました。
【関連記事】